T



上の図をクリックしてください。球体が現れます。黒の背景部分をダブルクリックするたびに星表-星座-地球と変わり、ドラックでズームします。


上の図は地球から見える約9000の星の位置を記したthebrightstarcatalogue (エール大学輝星目録)から作りました。地球の地図と同じように私たちの頭上に見える星も位置を示す住所があります。ちょうど地球の地図を宇宙空間に広げたように形作られた丸い球体、これを天球と呼んでいます。左の図のようなものを天球図といいます。赤経、赤緯は緯度経度のように対応し0の位置の線はちょうど地球でいう赤道に対応した天の赤道として表現されています。図の左上から真ん中下そして右上にたくさんの星が重なり合った部分が見えます。これが天の川です。しかし、これだけ星が多いと何処にどの星座があるか分かりにくいので下に4等星までの星図を描いてみました。


U



少し知っている星座が見えてきましたでしょうか横軸に0〜24と書いてありますがこれは角度(時角)を時間で表記しています。地球の経度も同じルールで書かれています。球体の一周360°を15°刻みで経線を入れていきますと360÷15=24で24本の線が描けます。地球が約24時間で一回転し15°回転すると約一時間が経過することに対応しています。赤緯0°赤経5〜6時付近にオリオン座が見えます。また赤緯50〜70°赤経11〜14時付近には北斗七星も確認できます。図に赤い点が弧を描くように配置されています。これは2008年の1月〜12月の各月1日の午後12時の太陽の位置を示してみました。昼間は太陽の強烈な光で背後の星は確認できませんが赤道座標(図のような座標の取り方)に表してみますと何か複雑ですが規則性のようなものが感じられます。


V



上図はUの図に星座線と太陽の通り道(これを黄道といいいます)を入れたものです。一番初めの説明に触れましたが帯のようにに見えた部分は天の川でしたがその左寄りは夏の星座右寄りは冬の星座に実はなっています。夏と冬に星座がより見つけやすいのは天の川に沿って明るい星が多く集まっているためだったのです。。真ん中下の密度の濃い部分に有名な南十時星(DEC-60,RA12〜13)も見えます。さて黄色の線で描いたカーブ、太陽の通り道(黄道)にそって同じ色の線で描いた星座は古代から黄道12宮と呼ばれている星座です。星占いでお馴染みですが生まれ月と星座は今は全く一致していません。作られたのは約2000年前と推定されていますがこのときには一致していたそうですが、地球は歳差運動といってコマが止まりかけの時に味噌を棒でするように地軸は動いています。このような挙動を長い年月しているために少しずつ12宮も黄道上をずれていきました。2000年前には春分点は牡羊座の中にありました。星座占いが牡羊座からはじまっているのはそのためだといわれています。今は図の通り魚座のところあります。黄道12宮はいわゆる星占いとは違います。昼間の太陽の位置を知ることによって現在の季節を知ることは様々な準備をする上で大変重要な指標になっていました。

※春分点:(天の赤道と黄道の交点の内、図で説明しますと(DEC0°,RA0h)の部分と(DEC0,RA12h)の部分の2つがありますが地上から見て黄道が南から北へ天の赤道をまたぐ点(DEC0°,RA0h)の方をいいます。反対を秋分点(DEC0°,RA12h)といいます。因みにこの点を含む日を春分の日秋分の日と定めています。この春分点は星の座標の全ての基準(DEC0°,RA0h)を決める見えない点として定められています。また月(白道)の場合は南から北へ天の赤道をまたぐ点を昇交点反対に,北から南へまたぐ方を降交点と呼んでいます。)


W



上の図は2009年の午後12時の太陽の位置を地上から見たものです。観測地は甲府です。横軸は方位角です。180°は真南を示します(0°は真北,90°は真東,270°は真西に当たります。)縦軸は高度です。0°は地平線で90°は観測者の頭上でここを天頂といいます。一年間の太陽の軌跡を見ると8の字を描くように移動していることが分かります。このような軌跡のことをアナレンマといいます。これは地球の地軸が太陽の公転面に対して約23.4度傾いていることと一見真円のように感じますが実は楕円の軌道を描きながら太陽の周りを約一年かけて地球が周っているためこのような形が現れています。夏至と冬至では高度にして約46.5°も違います。これは約47%の太陽のエネルギー差に相当します。また太陽が正午に真南に来ることは一年中ないことも分かります。東京でもこのことはありません。これは日本標準時を決める明石と東京とで子午線が通過する経度が東側にずれているために起こります。冬至の12月頃はさそり座の中にあります。日本の24節気の方がより細かく区切られていますが黄道12宮と24節気との間には基本的考え方で共通点が多いことが覗えます。今で言えばエコですが太陽のエネルギーに依存していた社会生活を送るためには重要なマストツールであったことは間違いないことだと思います。


X




地上に於ける24節気と太陽高度の関係が解っていただけたでしょうか。次は再び宇宙からの視点で見ていただきたいと思います。上の図をクリックして下さい。地球が太陽のどの位置を周ると24節気のどの名前になるかをflashで作りました。地球や他の惑星、月も含めて太陽の周りを公転している星は黄道座標(黄経,黄緯)で表します。地球からみて見かけ上の太陽の通り道に近いところを其々複雑な軌道で通過するからです。太陽は基準になっているので黄緯は常に0hです。黄経0°は上で説明した春分点がここでも基準になります。地球を中心に置き太陽の黄道と比べてどの方向に見えるか擬似的に捉えたものです。24節気はこの黄経360°一周を15°刻みで一つづつ実際の気候に沿うように24の季節に区切って(360÷15=24)命名しています。当時は江戸を中心に季節を捉えましたが日本は細長いのでこれと必ずしも完全に一致するとはかぎりませんが甲府あたりでは相当一致します。黄経を基準として太陽が360°一周することはある恒星(春分点)に対して同じ位置に戻ることを意味しています。この一周を恒星年といいます。太陽の動きと季節は約一年で完結します。黄道上の太陽の位置を知ることによって季節感や太陽の活動に依存した生き物の営み、其々の土地の独特の気候に気付いたり,様々な食べ物の旬や花の見ごろ虫の鳴き声や鳥の囀り月の形を楽しみにお酒を飲んだり確かにそこに存在している先人の叡智を感じ取っていただければ幸いです。

二十四節気 一覧
黄経 節気 説明
315°立春 寒さも峠を越え、春の気配が感じられる
330°雨水 陽気がよくなり、雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる
345°啓蟄 冬ごもりしていた地中の虫がはい出てくる
0°  春分 太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる
15° 清明 すべてのものが生き生きとして、清らかに見える
30° 穀雨 穀物をうるおす春雨が降る
45° 立夏 夏の気配が感じられる
60° 小満 すべてのものがしだいにのびて天地に満ち始める
75° 芒種 稲や麦などの(芒のある)穀物を植える
90° 夏至 昼の長さが最も長くなる
105°小暑 暑気に入り梅雨のあけるころ
120°大暑 夏の暑さがもっとも極まるころ
135°立秋 秋の気配が感じられる
150°処暑 暑さがおさまるころ
165°白露 しらつゆが草に宿る
180°秋分 秋の彼岸の中日、昼夜がほぼ等しくなる
195°寒露 秋が深まり野草に冷たい露がむすぶ
210°霜降 霜が降りるころ
225°立冬 冬の気配が感じられる
240°小雪 寒くなって雨が雪になる
255°大雪 雪がいよいよ降りつもってくる
270°冬至 昼が一年中で一番短くなる
285°小寒 寒の入りで、寒気がましてくる
300°大寒 冷気が極まって、最も寒さがつのる
(国立天文台 歴算室 暦用語集より)